ずいぶん前からあちらこちらでさわがれている 2000年問題 (Y2K 1)、いまさら説明するまでもない でしょうが、こういう問題です2。
1.1 2000年問題とは何ですか。
人々は時間を切れ目なく続いていくものだと思っています。
コンピュータは、他の数字と同じように、時間と日付を記憶していて、時間が進むに つれ、時間を表す数字を大きくしています。だから、未来の日付は常に過去の日付よ りも大きくなるのです。
あるプログラマー達は、日付から世紀を表す前2桁を削除することでこの時間の自然 な進行を妨げました。彼らは、それら(削除した2桁)が必要になるとは考えなかっ たのです。
世紀を表す前2桁がない場合、今世紀の最後の日は 99-12-31 となります。そして、 夜中の12時を過ぎたとき、多くのコンピュータは、2000年1月1日を 00-01-01、つま り前の日よりも小さな数字と判断し、時間を戻して表示するようになるでしょう。
老人は若者と見なされ、ほんの短い一瞬はまるごと1世紀に思えることでしょう。未 来の出来ごとは、すでに起こったことのように思えるでしょう。
- Duncan G. Connall <dconnall@tiac.net>, Global Software, Inc.
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"2000年が近づくにしたがって、国中の MIS (Management Infomation System = 経 営情報システム)は、日付に依存しているシステムを再プログラミングされてきてい ます。日付依存性とは、コンピュータを作動させるために日付を表示するという作法 に、どれほど多くのプログラムが依存しているかを指します。しかし、次の10年間の 最初の日になれば、今まで日、月、年数を示してきた表現方法の多くが不可能なもの になります。例えば最近のコボル言語は 1990年2月26日 を 900226 と表示し 1991年 1月1日を 910101 のように表わします。コンピュータは、2つの数字を比べて小さい 数字をより過去の日付と表示することを正確にやってのけますが、2000年1月1日すな わち 000101 と表わされたものはこれらの比較が出来なくなるでしょう。"
- Informationweek, Feb. 18, 1991
というわけでコンピュータで 2000年以降の日付を扱う処理をおこなうといろい ろトラブルが起きる可能性があります3。したがって計時機能を持つコンピュータは 2000年1月1日になると使いものにならなくなるかもしれません。
「コンピュータ」というとたいていの方が思い浮べるのは 研究室や情報教育棟、あるいは各職場にあるパーソナルコンピュータ でしょうが、これらが2000年1月1日に一斉におかしくなるかもしれないわけ です。
これが一橋大学内部だけの話であれば、そう気にする必要はありません。 社会的にはさほど重要な組織ではありませんので、外部への影響は無視してよ いでしょうし、なにかトラブルが起きても外部の助けを借りることができます。
しかし2000年問題はそういう局所的な問題ではなくて、コンピュータを使ってい るあらゆるところに影響がおよびます。組織の壁や国境は関係ありません。 しかも現代社会においてコンピュータは欠くことのできない存在です。 さきほど述べたパーソナルコンピュータなどはコンピュータのごく一部の存在で しかありません。
このような全社会的な問題はここで論ずるには大きすぎる話題です。 それだけの能力は筆者にはありませんし、一橋大学ローカルで議論しても無意味 ですから省略します。関心のある方は 参考資料 をどうぞ。